「同一労働同一賃金」の考えとは?
同一労働同一賃金は一体どんなことなのでしょうか。簡単に言えば「同一の仕事をする労働者に対して、同一の賃金を支払うこと」です。
つまり、正規雇用労働者と非正規雇用労働者の賃金格差が不合理に行われないようにすることに重点を置かれています。以前から、正規雇用社員と非正規雇用社員の間では報酬の優遇差や評価の差が生まれています。
例えば、業務内容が全く同じ仕事を正社員と契約社員で行っていた場合、正社員の給料が23万円で契約社員の給料が17万円で支給していることは報酬差が出ていまっています。また会社内での人事評価について、同一評価であっても契約社員より正社員を優遇することも同様です。このようなことが起こらないようにするのが主としてあります。
今回、同一労働同一賃金の導入に伴って更に厳格化をされたことで、すべての事業主が守らなければならないこととして挙げられています。
同一労働同一賃金が導入された理由
それでは、同一労働同一賃金を導入するようになった理由は何故でしょうか。これは日本の置かれている労働力確保の問題があります。
日本の人口構成について「厚生労働省 日本の将来推定人口」をみていくと、少子高齢化が進み生産年齢人口の割合が1995年をピークに年々減少していることが挙げられます。それに加えて団塊世代が65歳以上の高齢者となり高齢化率が高まっていることも要因としてあります。2065年には、日本の人口が9,000万人を切り、高齢化率は38%になると推定しています。生産年齢人口については、2030年に6,875万人になり、2065年には4,529万人まで減少する見通しになっています。
つまり、今後生産年齢人口の増加が見込めない状況では以前のような働き方ではなく、多様な働き方を推奨していく必要があります。多様な労働力の確保が求められるようになり、人種・国籍・性別・雇用形態等に関わらず働ける状況を整備する為に同一労働同一賃金を導入しています。
また政府が施策として「働き方改革」を2018年6月に国会にて成立しました。その中にも同一労働同一賃金の考え方を取り入れています。正社員と非正社員の待遇差を改善していくことは、年々増加している非正社員の雇用内容の充実を図り乖離が生まれないように配慮することも意識しています。
諸外国の正社員と非正社員の賃金水準の差はどのぐらいでしょうか。非正社員の賃金水準についてはヨーロッパ諸国が約7割~8割程度で推移していますが、日本では約6割の水準です。同一労働同一賃金を進めていくのは賢明なことです。
同一労働同一賃金の対象になる人たちは?
非正規雇用社員は正規雇用社員に比べて賃金や待遇面で格差があることをお伝えしてきましたが、非正規雇用の人たちはどのような雇用形態なのでしょうか。
実際に対象となる雇用形態は有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者などです。ほとんどの企業でこういった雇用形態の人たちと仕事をすることが多いでしょう。その際に、同一労働同一賃金に反していないか確認する必要があります。
まとめ
今回は同一労働と同一賃金はどのようなことなのかを簡単にポイントを押さえてお伝えしました。時代の流れとともに働き方も多様化し変化をしています。少子高齢社会になっている日本は、これから労働力の確保は重要な問題です。同様の仕事をするのであれば、正社員と非正社員の垣根を越えて賃金や待遇の改善が必要になる時代が始まっています。
同一労働同一賃金について知らなかったことで採用や非正社員定着の影響、トラブルの発生を未然に防ぐことは重要です。大企業や中小企業の経営者、人事担当の方々は内容を確認して対策を施すことが今後の企業にとって重要な役割を果たすことになるでしょう。